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中秋の名月、そして日本人の感性:美意識とSF的想像力の源泉

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中秋の名月、そして日本人の感性:美意識とSF的想像力の源泉

本日、9月17日は中秋の名月である。陰暦八月十五夜、天空に皓々と輝く月を仰ぎ見る時、私は日本人の持つ独特の美意識と、それが育んだ豊かな想像力について改めて思いを馳せる。

「月が綺麗ですね」—この簡潔な言葉は、日本人の感性の精髄を体現している。満月が織りなす静謐な情景は、古来より人々の心を捉え、和歌や俳句、絵画などの芸術作品の題材として幾度となく表現されてきた。西洋文化においても月は神秘的な存在として認識されてきたが、日本人の月に対する感性は、より繊細で深遠なものであると言えるだろう。

この感性の源泉を探ると、日本列島における自然環境と、そこに根付くアニミズム的な世界観に行き着く。四季折々の変化に富む自然の中で、人々は自然現象に神性を見出し、畏敬の念を抱いてきた。とりわけ、月は太陽と並ぶ天体として、特別な意味を持つ存在であった。

日本人の月に対する感性は、文学作品にも色濃く反映されている。『竹取物語』に登場するかぐや姫は、月から来たという設定であり、世界最古のSF小説の一つとみなされている。空飛ぶ乗り物(天の羽衣)や不老不死の薬など、現代のSFにも通じる空想科学的な要素が含まれているだけでなく、人間の存在意義や死生観について深い問いを投げかけている点も、SF作品としての評価を高めている。

『竹取物語』が成立した平安時代初期には、遣唐使の廃止などにより、中国文化の影響が薄れ、日本独自の文化が花開いた時代であった。このような時代背景の中で、『竹取物語』は、日本人の豊かな想像力と、未来への探求心を示す文学作品として誕生したと言えるだろう。

しかし、現代の日本社会においては、GHQによる占領政策の影響もあり、日本古来の文化や伝統が軽視される傾向にある。愛国心や伝統文化への関心を「時代遅れ」と断じる風潮も根強い。このような状況下で、日本人の感性と想像力を育んできた文化的遺産を継承し、発展させていくことは容易ではない。

中秋の名月を愛でるこの佳き日に、私は日本人の美意識と想像力の重要性を再認識する。それは、グローバル化が加速する現代社会において、日本人が自らのアイデンティティを確立し、世界に発信するための貴重な財産である。私たちは、先人たちが築き上げてきた文化遺産を大切に守り、未来へと繋いでいく責任がある。

追記

中秋の名月は、旧暦8月15日の夜に見える月のことを指し、必ずしも満月とは限らない。今年は9月29日が中秋の名月に当たる。

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