地球沸騰期における気候変動と日本列島への影響

近年の地球温暖化の加速は、もはや看過できない段階に達している。国連事務総長グテーレス氏の「地球沸騰」という警句は、我々に差し迫る危機的状況を如実に示すものであろう。地球温暖化問題は半世紀近く前から議論されてきたものの、抜本的な解決策は見出せないままである。

本年夏季の平均気温は平年値を1.76℃も上回り、異常気象の頻発は深刻化の一途を辿っている。三重大学生物資源学部の立花義裕教授によれば、2015年に採択されたパリ協定で設定された気温上昇抑制目標1.5℃は、既に昨年時点で1.4℃に達しており、地球温暖化は予測を上回る速度で進行しているという。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提示した2100年における気温上昇予測値5.6℃は、現在の温暖化速度を考慮すると、2050年には現実のものとなる可能性がある。これは、従来の気候モデルでは想定されていなかった事態であり、地球全体の気候システムに深刻な擾乱をもたらすことが懸念される。

我が国においても、2050年には夏季の平均気温が40℃を超え、東京における最高気温は45℃に達する可能性が示唆されている。これは、観測史上最高気温である2004年7月20日に記録された39.5℃を大幅に更新する数値である。

こうした気温上昇は、日本の四季構造を崩壊させ、「二季化」を引き起こすと予測されている。立花教授は、秋季と春季の消失、夏季の長期化を指摘している。これは、北極圏における温暖化の影響で偏西風の蛇行が顕著化し、夏季には高気圧に覆われて高温状態が持続するためである。一方、冬季には偏西風の北側に位置するため寒冷な気団の影響を受けやすくなるものの、海水温の上昇に伴い水蒸気量が増加し、豪雪のリスクが高まる。

さらに、海水温の上昇は台風の発達を促し、伊勢湾台風級のスーパー台風の発生頻度を高める可能性も孕んでいる。近年、線状降水帯の発生頻度増加やゲリラ豪雨による被害が拡大しているが、スーパー台風の襲来は、我が国の社会インフラに壊滅的な打撃を与える可能性があり、防災対策の抜本的な見直しが必要となるだろう。

地球温暖化は、気象現象のみならず、生態系、農業、水資源、健康など、多岐にわたる分野に影響を及ぼす。食料生産の減少、水不足、感染症の蔓延など、人類社会の存続を脅かす深刻な問題を引き起こす可能性がある。

2050年の日本は、地球沸騰期における気候変動の影響を強く受けることになるだろう。我々は、この危機的状況を直視し、持続可能な社会の実現に向けて、あらゆる努力を尽くさなければならない。

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