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医療業界と航空業界の安全対策を建設業に応用する

国をつくり、国を守る

 医療過誤と航空機事故は、いずれも人的過誤が主因の一つであり、その防止策として情報伝達と協調性の重要性が強調されております。

 医療過誤は、不可抗力によるものと過失によるものに分類され、過失には誤謬と規約違反が含まれます。医療過誤の多くは、人的過誤と危険行動が複合的に絡み合って発生いたします。危険行動は、誤謬の前段階における意図的な違反行動であり、情報伝達過誤もその一つです。情報伝達過誤には、情報の誤伝達や聞き間違いだけでなく、相手の失敗を指摘できなかったり、疑問点を確認できなかったりすることも含まれます。 医療現場では、チーム医療が主流であり、チーム全体で誤謬を未然に防ぐ、または誤謬が発生してもリカバリーできる体制が重要です。情報伝達過誤は、チームエラーの一種とみなされ、医療過誤を防ぐためには、チーム内の情報伝達を円滑にし、相互理解を深めることが不可欠です。

 航空機事故の主因もまた人的過誤であり、その割合は6割近くに上ります。航空業界では、人的過誤対策としてCRM(Crew Resource Management)という訓練技法が開発され、その後TEM(Threat and Error Management)という概念に発展いたしました。 CRMは、情報伝達や協調性を向上させることで人的過誤を防ぎ、チーム全体の能力を高めることを目的としております。TEMは、誤謬の発生防止、早期検知、結果の最小化という3段階の取り組みを行う安全管理手法であり、CRMはその訓練手段として位置づけられております。

 医療現場と航空業界では、CRMやTEMのようなチーム全体の能力を高めるための訓練が実施されております。また、職場環境や人間関係が、誤謬の発生率に影響を与えることも共通の認識となっております。 医療現場では、上司の安全に関するリーダーシップや、スタッフ間の良好な人間関係が、安全行動を促進し、情報伝達過誤を減少させることが示唆されております。航空業界でも同様のことが言え、良好な情報伝達と協調性は、安全な運航に不可欠です。 建設現場や土木工事現場における事故も、しばしば人的過誤が主因の一つであり、その防止策として医療や航空業界と同様に、情報伝達と協調性の重要性が強調されております。

 建設現場や土木工事現場での事故は、落下、転落、崩壊、機械による事故など、様々な要因で発生いたします。これらの事故の多くは、人的過誤と危険行動が複合的に絡み合って発生いたします。危険行動は、危険を認識していながらルールを守らなかったり、注意散漫な行動をとったりするなど、意図的な違反行動です。情報伝達過誤もその一つであり、作業指示の誤伝達や聞き間違い、確認不足などが含まれます。

 建設現場では、チームで作業を行うことが多く、チーム全体の安全意識を高め、誤謬を未然に防ぐ、または誤謬が発生してもリカバリーできる体制が重要です。航空業界で開発されたCRM(Crew Resource Management)やTEM(Threat and Error Management)は、情報伝達と協調性を向上させることで人的過誤を防ぎ、チーム全体の能力を高めることを目的としております。これらの手法は、建設現場でも応用可能です。 例えば、作業前のミーティングで危険予知を行い、作業手順や安全確認事項を共有することで、誤謬の発生を予防できます。また、作業中に互いに声を掛け合い、注意を喚起することで、誤謬の早期発見やリカバリーが可能になります。

 建設現場における安全対策は、CRMやTEMのようなチーム全体の能力を高めるための訓練だけでなく、職場環境や人間関係の改善も重要です。例えば、安全に関する積極的な話し合いができる雰囲気作りや、報告しやすい環境づくりなどが挙げられます。 また、上司やリーダーの安全に対する意識や行動は、現場の安全文化に大きな影響を与えます。リーダーが積極的に安全に関する情報を共有し、安全行動を促すことで、現場全体の安全意識が高まります。

 建設現場や土木工事現場における事故は、人的過誤が大きな要因であり、その防止には、組織的な安全対策と個人の意識向上が必要です。特に、情報伝達と協調性の重要性は、医療や航空業界と同様に建設現場でも共通しており、CRMやTEMのような訓練技法は、人的過誤による事故を減らすために有効な手段となり得ます。

令和6年6月15日

運営責任者 勝浦 悠太